第214回 外国人の台湾就業の大幅緩和について

優秀な外国人人材の台湾での就業を促進するため、立法院は2017年10月31日に「外国人専門人材の招聘および雇用法(以下「本法」といいます)」を可決しました。本法の重要ポイントは以下のとおりです。

「183日ルール」が撤廃

一.就労、査証および在留規定の緩和

  1. 「就業許可」、「査証」、「外国人・華僑の在留許可」、「入国許可」等の機能を組み合わせた「就業ゴールドカード」の発行により、外国人が台湾で就労する際の利便性が向上します。また、外国人の雇用許可期間が3年から5年に延長されます。
  2. 外国人芸術就業者は台湾の雇用主を通さずに、自ら就業許可を申請することができるようになります。
  3. 専門の知識または技術を備えた外国人教師が塾で授業することが自由にできるようになります。
  4. 永住権の取得を求める外国人は、年間183日以上台湾に滞在しなければならないとの規定が廃止されます。

配偶者・子女も永住申請可能に

二.外国人の父親、母親、配偶者及び子女の在留規定の緩和

  1. 永住権取得済みの外国人専門人材の配偶者、未成年の子女も台湾での永住を申請することができるようになります。
  2. 永住権取得済みの外国人専門人材について、その成年子女の台湾での就業制限が緩和されます。
  3. 外国人の直系尊属について、台湾への親族訪問期間が6カ月から1年に延長されます。

三.定年退職、健康保険および租税優遇の提供

  1. 永住権を取得した外国人専門人材に台湾の労働者定年退職金制度を適用することができるようになります。
  2. 外国人専門人材の配偶者、未成年の子女は台湾の国民健康保険に速やかに加入できるようになり、原本取得までの6カ月の待機期間がなくなります。
  3. 外国人専門人材が台湾に来てから最初の3年間における給与所得のうち300万台湾元を超える部分については、折半して課税されることになります。

本法は18年3月までに正式に施行される予定です。施行された場合、外国人の台湾での就労、定住はますます便利になるでしょう。


*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は当事務所にご相談下さい。

執筆者紹介

台湾弁護士 蘇 逸修

国立台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、台湾法務部調査局へ入局。数年間にわたり、尾行、捜索などの危険な犯罪調査の任務を経て台湾の 板橋地方検察庁において検察官の職を務める。犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などで検事としての業務経験を積む。専門知識の提供だけではなく、情熱や サービス精神を備え顧客の立場になって考えることのできる弁護士を目指している。

本記事は、ワイズコンサルティング(威志企管顧問(股)公司)のWEBページ向けに寄稿した連載記事です。